インスタグラムフォロワーは380万人超、展覧会の総動員者数が230万人を突破した、大人気ミニチュア写真家・見立て作家の田中達也氏。“毎日”新たな作品を投稿し続けている同氏には「どうして、アイデアが尽きないのですか?」という質問が届くという。そこで本連載では、「感覚に頼らず、論理的にアイデアを生み出す法則」をまとめた『みたてのくみたて』を刊行した田中氏に、「アイデアは、尽きるどころか日々増えています」という発想の秘訣を、余すことなく伝えてもらう。(構成:ダイヤモンド社第三編集部)
作品のアイデアを伝えるために心がけているポイントを4つご紹介します。共通しているのは、アイデアのおもしろさを際立たせるために、「余計なものは極力入れない」ことです。
1 1モチーフ1アイデア
アイデアのメモを取るときは、「ブロッコリーで木」「ポップコーンで雲」など“1モチーフ1アイデア”にしています。
1つの作品にアイデアを詰め込みすぎないことで、見る人に瞬時に見立てが伝わりやすいように心掛けています。
2 背景はシンプルかつ余白を残す
作品の背景色は、ベージュ、ブルー、ブラックの3色に統一。ベージュは、作品の邪魔をせず、真っ白な背景にはない「空気」を伝えることができます。ブルーはベージュでは埋もれてしまうモチーフのときに。
また、余白を多く残すことで、作品の外側の物語まで想像してほしいと考えています。
3 一目でモチーフがわかる構図にする
作品のモチーフが理解しやすいように、見慣れた角度で撮影することが大事です。人は日常で道具を使うときに、自然と斜め上から物を見ているので、斜め上から撮影した構図が多くなります。
4 アイデアスケッチは小さくかんたんに
少ない線でかんたんに物を描いてもアイデアが伝わるのは、「端的にわかりやすく表現できている」=「うまく簡略化できている」ということです。
また、あえて小さくスケッチを描くと、細かい部分の作り込みではなく全体に意識が向くようになります。最初から作り込まない方が、後で新しいアイデアを入れ込む余地も生まれます。
(本稿は、『みたてのくみたて』を抜粋、再構成したものです)