キンバリー・チートル氏(53)は1992年、大学を卒業する前に大統領警護隊(シークレットサービス)に志願した。彼女はこの仕事で約30年にわたり、歴史をじかに目撃してきた。13日に自身が歴史の一部となるまでは。米同時多発テロが発生した2001年9月11日、チートル氏は若き隊員としてディック・チェイニー副大統領を警護するチームに加わっていた。首都ワシントンに攻撃が迫っていることを多くの人が恐れていたとき、同氏はホワイトハウスにいた。その後、ジョー・バイデン副大統領の警護チームに配属され、ジル夫人を担当。有能さと親しみやすさを兼ね備えるチートル氏は夫人と信頼関係を築いた、と元隊員らは語る。チートル氏は民間企業に1年間勤務した後、2022年に復帰し、長官に就任した。しかし同氏は今、シークレットサービスにとってこの数十年で最大の危機の「顔」となっている。ドナルド・トランプ前大統領がペンシルベニア州の選挙集会で演説中に、銃を持った20歳の容疑者に暗殺されかける事件が起きた。不可解なことに、警備されていたはずの屋上から、容疑者は何の妨げもなく銃を発射した。1981年にロナルド・レーガン大統領が狙撃されて以降の数十年間、このような衝撃的な失態はほぼ考えられないことだった。
米シークレットサービス長官、傷ついた二つの評判
出世の階段を駆け上がったチートル氏、トランプ氏暗殺未遂で批判の矢面に
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