二流のサラリーマンは「自分の見つけたスキル」を隠す。じゃあ、一流はどうする?
そう語るのは、これまで4300社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『リーダーの仮面』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

二流のサラリーマンは「自分の見つけたスキル」を隠す。じゃあ、一流は?Photo: Adobe Stock

ダメなサラリーマンの特徴

 あなたが、ある特定のスキルを身に付けたとしましょう。
 それにより、会社で大いに活躍できるようになるとします。

 その後、2通りの考えに分かれます。

「このスキルを人に隠しておこう」
「このスキルを人に教えてあげよう」

 前者は、自分の目標だけを200%クリアできたとしましょう。
 後者は、全メンバーで全社の目標を120%クリアできるようになりました。

 結果的に、前者では個人の売上がアップしただけですが、後者では会社全体の売上アップに貢献したのです

 一流のビジネスパーソンは、後者の選択をとります

 そうやって個人が組織に貢献できるかどうかは、多くの会社ではその人の性格やタイプで決まってしまっているはずです。
 協力的か、そうでないかが、人によってバラバラになっている。
 その問題を解決するのに、「仕組み化」が役に立ちます。

 協力せざるを得ない仕組みを、人の上に立つ人が作り上げるのです
 新しいマニュアルを作る側になるということです。

 組織全体に貢献する人が、組織では上にあがれるようになっていて、さらに上に立つ人が、貢献せざるをえない仕組みを作り続ける。
 成長の根底には、仕組み化の考えがあり続けるのです。

「替えの利かない人」になりたい欲望

「歯車ではなく、替えが利かない人になりたい」という欲望が、人間にはあるはずです。
 その存在を否定しません。

「あなたがいないと困るんだ」と言われて、嫌になる人はいないからです。
 ただ、本音と建前があると思うのです

 トッププレーヤーであるエース社員が引き抜かれて、その会社が絶望に立たされるとしましょう。
 最初は、「あなたがいないと困る」と言って引き留めるでしょう。

 しかし、人の上に立つ人は、残されたメンバーを信じないといけません

「一時的にピンチです。しかし、このメンバーたちなら大丈夫です」ということを伝えるのです。

 すると、思いもよらなかった社員が、代わりにエース級の活躍をするようになります。
 そうやって人の成長を信じ、入れ替わりが起こるのが、「いい組織」です
 仕組みがあれば、ピンチを補えます。

 さらに、そのピンチを乗り越えると、組織は「脱皮」して大きくなります。
 そうやって、より強固な体質になっていく会社を、私は数多く見てきました。

 だから、「組織の中で替えが利くようにしておく」という人が、逆説的に優秀なのです。
 型にハマった人が、やがて大きく化けます。
 そのためにも、できるビジネスパーソンには仕組み化が根底に必要になってくるのです。

(本稿は、『リーダーの仮面』の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年7月現在、約4300社の導入実績がある。主な著書にシリーズ累計140万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(いずれもダイヤモンド社)がある。