2024年株主総会「3つの特徴」、次の総会に備えて経営者が用意すべきことPhoto:JIJI

2024年の株主総会
株主提案はほぼ全て否決

 東京証券取引所に上場する企業の2024年の株主総会は6月27日をピークに計2264件が開催された。以下では、本年の株主総会における3つの特徴を総括するとともに、2025年に向けた企業経営者への示唆を提示したいと思う。

 第一の特徴は、過去最高となる90以上もの株主提案がなされたが、ほぼすべて否決されたことだ。

 会社側の提案する取締役選任議案が否決され、株主提案の取締役が選任された唯一のケースは、ダイドーリミテッドの株主総会である。同総会の取締役選任議案では、会社側提案の候補6人のうち5人が可決され、アクティビスト投資家であるストラテジックキャピタル側提案の候補6人のうち3人が可決された。

 ダイドーリミテッドの他に会社提案が否決されたのはアストマックスで定款変更議案が否決された。東洋証券は代表取締役社長を選任する議案を自ら取り下げた。

 株主提案された議案は、企業側と株主・投資家側とで主張が決裂した案件か、アクティビストのコミュニケーション手段としてのキャンペーンが氷山の一角として表出したに過ぎない。表出した90の株主提案以外に、既に決着がついたか、株主総会に諮らずに継続検討となった多くの提案があったと考えるべきだろう。

 言い換えると、株主総会で一定の賛成票を集めるような提案を受け取った場合、企業は無下に扱えず、株主総会前に対応せざるを得なくなっている。