
本橋陽介
日本取引所グループ(JPX)は東証株価指数(TOPIX)改革の第一段階をすでに開始した。第一段階では25年1月までに段階的に「流通株式時価総額100億円未満」の銘柄をTOPIXから除外することが決まっている。これにより4月末時点で約2,100だった構成銘柄は1700銘柄となる見込みだ。今後、着手が予定されているTOPIX改革「第二段階」の要点を整理するとともに、第二段階で除外される企業の行方、第二段階に向けて企業経営者がなすべき備えを解説する。

東京証券取引所に上場する企業では、6月末までに2000件を超える2024年の株主総会が開催された。2024年の株主総会では90以上もの株主提案がなされるなど特徴的な出来事が多々あった。本稿では2024年の株主総会を3つの特徴から総括し、2025年に向けた企業経営者への示唆を提示する。

日本株が堅調に推移する背景に投資家の行動様式の変化がある。パッシブ投資の割合が高まる一方で、投資家ユニバース全体にアクティビスト的な行動様式が伝播している。このような社会の変化に対応すべく、上場企業経営者はアクティビスト・ファンドなど全ての投資家と向き合うために必要な能力としてファイナンスがあることを指摘するとともに、ファイナンス能力を高めるための方策を明快に提示し、株主の総アクティビスト化が更なる価値創造の機会となり得ることを強調する。

ESGはプラグマティック(実利的)であり、ビジネスとの親和性が高い。B2B領域の日本企業の先進事例を紹介したうえで、改めてESG経営に取り組むことの意義をレビューしつつ、今後日本市場に訪れるであろう大変革について論じる。

トヨタ自動車の次期新社長が言及するなど次世代BEV(電気のみで走行する車)に対する注目が急速に強まっている。BEV普及の背景にある政策に加え、BEVに潜む3つのリスクを解説するとともに、日本の自動車関連企業に求められる戦略を指摘する。

ESG経営では、企業価値の向上策をめぐる投資家との「対話」が重要となる。ESG初心者の企業に向け、経営の足腰を鍛えるエンゲージメントを実践するための「3つの心得」をお伝えしよう。

英国は2020年12月、プレミアム市場に上場する企業を対象に、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った開示を義務化した。開示対象は英国に拠点を持つ非上場の大企業などにも広がる予定で、2025年までに完全義務化される方針だ。気候変動への対応策を海外企業の動きから整理し、日本企業・経営者の対応の在り方を示唆する。

米中ハイテク覇権争いによって、ファーウェイと傘下のハイシリコンは米国の禁輸リストに記載された。しかし、ファーウェイという大口客を失ったにもかかわらず、台湾のTSMCの業績は盤石だ。人工知能、IoTなど先進テクノロジー領域でコンサルティング・リサーチを行う第一人者が、TSMCの強さの秘密、TSMCを支える日本の半導体製造装置メーカーの強さと課題について、明快に解説する。
