(4)これからの時代に必要となる生き方の覚悟

 前述のようにダブルバインドな状態がしばらく続く中、働く個人として、どのような選択肢があるのかを考えてみると、大きく分けて3つあるのではないかと思います。

・組織の命令に従い、就業時間内にリスキリングを業務として行う
・組織の命令に従い、就業時間外にリスキリングを自主的に行う
・組織の方針には従わず、リスキリングは行わない
 
 まず1つ目、これが一番望ましいですが、就業時間内にリスキリングを行うことができる方は、本当に現在の時点では少ないように思います。ある程度自分のやりたいリスキリングの方向性を組織内で実現できる場合は、定年後に再雇用という選択肢以外に、転職、独立といった新たなフィールドで活躍できる可能性が高まります。

 そして2つ目、この場合は、もちろん社内で残りの人生で活躍するために取り組んでもよいと思いますが、就業時間外の自分の自由時間を使うわけですから、自分の残りの人生を豊かにするための時間として取り組んでいただきたいと思います。

 最後の3つ目ですが、ダブルバインドな環境下とはいえ、ご自身の将来の選択肢を狭める結果をもたらすのではないかと思います。役職定年、定年して再雇用という選択肢を受け入れても、従来のままの仕事が今後も必要とされ、収入も維持できる方を除き、現在より厳しい環境に追い込まれる可能性が高くなります。ご自身の将来のキャリアの選択肢を増やすためにも、ぜひリスキリングに取り組んで頂きたいと思います。