米連邦準備制度理事会(FRB)が9月利下げへの道を大きく開くことで、大統領選と「衝突」するリスクが高まっている。党派政治に巻き込まれないよう慎重を期す中央銀行にとって、選挙の前後に政策転換に踏み切る可能性があるというのは、どうやっても不利な状況と言える。選挙前に利下げすれば、共和党やドナルド・トランプ前大統領の反感を買う恐れがあるが、必要な利下げを見送れば、景気が悪化して民主党の反発を招きかねない。この気まずい構図は、FRB高官らが今後数週間、9月中旬に開催される次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で一連の利下げに着手するという期待の形成を後押しし、その理由を説明する新たな動機となる。そうした地ならしを長らく続けてきたジェローム・パウエルFRB議長は7月31日もこれを続け、インフレ率を確実に低下させつつ、これまでの利上げによって米経済が景気後退(リセッション)に陥るのを防ぐことに、しっかり照準を合わせていると述べた。「われわれはあくまでそこに焦点を当てている」