ちゃんと働いているのに評価されない」「サイレント減点されている」……
あなたは職場でこういった「コスパの悪い」働き方をしていないだろうか?
あなたも、「職場で要領よく立ち回れる人」になって、「会社で自由と安寧を手に入れたい」と思ったことはないだろうか。
そんな思いに応える新刊が、『雑用は上司の隣でやりなさい』だ。最短出世中・現役エリートメガバンカーのたこす氏が「なぜか評価をされる人」が戦略的にやっている75のテクを明らかにした革新的な一冊として、各所で話題沸騰中。
地頭力よりも実力よりも大切な「超・圧倒的に役立つ」ノウハウが満載の本書。今回はそんな本書から「なぜ、『お辞儀ハンコ』に逆らってはならないのか」を解説する。

「お辞儀ハンコ」に絶対に逆らってはいけない理不尽な理由【メガバンク謎文化】

「お辞儀ハンコ」は超しょうもないが、決して逆らってはならない

あなたは印鑑の正しい向きをご存じですか? 銀行では最初の研修で印鑑の正しい向きを教え込まれます。

正解は、「印影が真っ直ぐになるように押す」ではなく、「少し左向きに傾いたように押す」です。
なぜ左向きに傾けるかと言うと、印影がお辞儀をしているように見えるからです。銀行の決裁書、稟議の押印欄は一番右に担当者印の枠があり、そこから左に向かって課長印、副支店長印、支店長印とだんだん偉くなっていきます。
銀行は印鑑文化です。今ではDXが進み印鑑を押すことも少しずつ減ってはいますが、紙で回覧して印鑑を押す文化のほうが圧倒的大多数で、僕が支店で営業担当をしていた時は1日に100回以上印鑑を押すこともありました。印鑑文化のせいで印鑑の向きにまでこだわる人がとても多いです。

そして最終決裁者である支店長が印鑑を押すタイミングでは、担当者、課長、副支店長の全員が支店長に向かってお辞儀をしているように見えるというわけです。信じられないくらいしょうもない文化ですよね。
実は「こういったしょうもない文化に付き合うこと」にどのような意味が存在しているのかを理解することが「高コスパな仕事術」の「守り」の面で一番の要になります。

しょうもなくても、それを大事にしている人がいる

ここであなたが理解しなければならないことは、自身の所属する会社の人たちのほとんどが「このしょうもない会社のルールを(少なくとも表面上は)大切にしている」ということです。
会社員として効率良く出世していきたい、またはうまく立ち回っていきたいのであれば、「印鑑の向きを気にする人が社内にたくさんいる」という事実を踏まえた行動を心掛ける必要があるのです。

日本のほとんどの会社において、順当に出世していくために必要なことはただひたすら高い成績をあげ続けることではありません。それ以上に、会社の文化に染まっているかどうか、あるいは染まっているように見えるかどうかという「順応性」も重要な要素です。

会社における出世つまり昇格は、直属の上司やその部署の部長が自身の責任で判断しています。つまり、機械による自動的なプロセスではなく、人の感情が介入するプロセスです。
ここで、あなたが部下の昇格を判断する上司だとしましょう。あなたは部下を昇格させるかどうか判断するにあたって、成績が高いかどうかだけではなく、「その会社に残ってくれるのかどうか」「自分にとって有用な部下として引き続き働いてくれるかどうか」という点も考慮しなければなりません。部下が辞めてしまっては、自分の査定に響くからです。
ではこれらの基準をもとに、以下の二人を比べてみてください。

◎印鑑の向きはデタラメだが、実力だけはしっかりしているAさん
◎実力は少し劣るが、印鑑の向きはしっかり揃えてくれるBさん

あなたは、どちらを昇格させるでしょうか。