東京都都知事選に出馬し、2位の票を得て知名度を大きく向上させた前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が繰り出す「石丸構文」がネットで話題になっています。
あなたの会社にはこのような「石丸氏系上司」はいるでしょうか。もし、「石丸氏系上司」タイプが自分の直属の上司になってしまったらあなたはどうすればいいと思いますか。
本記事では新刊『雑用は上司の隣でやりなさい』を上梓する最短出世中・現役メガバンクブロガーのたこす氏が、「石丸氏系上司」の対処法についてメガバンクでの経験を軸に解説していきます。
石丸氏はメガバンクで「出世街道のど真ん中」を歩いていた可能性が高い
「石丸構文」の特徴として、捉え方によってはパワハラに感じる高圧的なトーン(口調)や、質問に対して質問で返し、加えて質問で返す際に絶妙に論点をずらすことで最終的には自分の意見が間違っていることを決して認めないといったところが挙げられると思います。
そんな「石丸構文」の応酬を見ていると、実は、割と僕の勤めるメガバンクにもよくいるタイプの上司像と重なります。それもそのはずで、石丸氏はメガバンクの一角である三菱UFJ銀行でサラリーマン人生の大半を過ごしていたのです。
石丸氏は2006年に京都大学を卒業後、メガバンクの一角である三菱UFJ銀行に入行しています。当初は姫路支店に配属されその後は企画系の部署やNYで為替アナリスト業務を行うなど、同じメガバンク行員の僕から見ても間違いなく出世街道のど真ん中を歩んでいたキャリアだと思います。
王道の出世街道ではよくあることですが、当然にして周りにいる同僚の銀行員たちもキレッキレな優秀層しかいません。そんな優秀な銀行員たちを従える上司は、さらに選りすぐりの戦闘力高めの銀行員です。
時には間違った意見でも「最後まで押し通す」のがメガバンク戦闘力
ここでの戦闘力というのは、いわゆる論戦において「自分の意見を押し通す力」を指します。メガバンクは基本的には高学歴でロジカルな人が多いので、それだけでは社内で埋もれてしまいます。
戦闘力を高める方法の一つに、時には間違っている意見や方針であっても最後まで押し通すことで、「自分は何一つ間違ったことを言っていない」と周りを強制的に従えさせるような”言葉の圧力”を自在に扱う、があります。
「俺、なんか間違ったこと言ってるか?」と言われて誰も否定しなければその人が正義になってしまうのが、メガバンクの現場です。今は時代も変わってそのような上司は減りつつありますが、石丸氏が若手時代に仕えた上司たちはおそらくこういったロジカルとパワハラを掛け合わせた強力な人材ばっかりだったことは想像に難くないです。そんな環境に揉まれながら生き残るために石丸氏が手に入れた力がこの「石丸構文」だと私は考えています。