お辞儀ハンコは順応性の証

外資系企業では文句なしでAさんが昇格するでしょう。ですが少なくともJTC(伝統的日系企業)においては、Aさんを快く昇格させる判断はできないはずです。長期的な視野でAさんとBさんを比較すると、Bさんのほうが会社に長く残ってくれて、自分の部下として働いてくれる期待値が高いかもしれないからです。

つまりAさんは実力があるにもかかわらず、このしょうもないルールに順応しなかったがために上司からサイレント減点をされてしまい、出世街道転落の危機に陥ってしまうわけです。

お辞儀ハンコをするかしないかで出世に響くだなんて「大袈裟だ」「理不尽だ」と思った方もいるかもしれません。厳密には、「お辞儀ハンコみたいに特に労力をかけずに順応性をアピールできるタイミングすら上手く活用できない人は、JTCでは出世が難しい」という表現が正しいです。JTCには、お辞儀ハンコ以外にもメールのCCの順番へのこだわりや会議の前に必ず根回しをしないといけないしきたり、賞与をもらった次の日は必ず部長にお礼を言わなければいけない文化といった何の生産性もないルールがたくさん存在しているのです。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』から一部を抜粋・編集・加筆したものです)