最高値更新の金価格は「高値横ばい」が続く?世界の中央銀行が“ドル離れ”で爆買いPhoto:brightstars/gettyimages

金相場が歴史的な高値圏で推移している。米ニューヨーク金先物価格は8月初旬に初めて1トロイオンス=2500ドルの大台を突破した。世界的なインフレや戦争による信用リスクの高まり、ドル離れの複合的な要因が絡み合い、新興国を中心に中央銀行が金を買い集めている。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

金先物が2500ドルの大台初突破
トランプ、パウエル発言が後押し

 トランプ前米大統領が金の最高値更新を後押しした。7月13日(現地時間)、米ペンシルべニア州の選挙集会で演説中に銃撃された事件を受け、トランプ氏が大統領選挙で優位に立つとの見方が市場で広まった。

 そんな中、「現在は大幅なドル高・円安、ドル高・人民元安となっており、われわれは大きな通貨問題を抱えている」と言及したトランプ氏のインタビューが報じられた。トランプ氏が大統領になれば、米国の製造業復活のためドル高是正、つまりドルの価値を下げる政策を進めるだろう──。

 こうした思惑から市場では金を買う動きが強まり、米ニューヨーク金先物価格は7月17日に一時1トロイオンス=2480ドル台に達するなど、過去最高値を更新した。

 さらに7月31日、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、「次回9月の会合で政策金利の引き下げが選択肢となり得る」と言及したことで、8月1日には金先物価格が初めて2500ドルの大台を突破した。