NGHSは研究開始時に9〜10歳だった白人または黒人の女児を登録して1987〜1999年にかけて心代謝の健康とその関連因子を調査した研究で、2015〜2019年に追跡調査が行われていた。

 Epel氏らは、対象者の食事摂取記録から栄養と食品の平均摂取量を計算し、全体的な食事の質を評価した。この評価には、既存の代替地中海食(Alternate Mediterranean Diet;aMED)スコア、代替健康食指数(Alternate Healthy Eating Index;AHEI)とともに、研究グループが考案したエピジェネティック栄養指数(ENI)が用いられた。

 さらに、3日間の食事摂取記録から添加糖類の平均摂取量を、唾液のDNAメチル化プロファイルから第二世代のエピジェネティック時計の指標とされるGrimAge2を算出した。

 対象者は、1日平均61.5gの添加糖類を摂取していたが、範囲は2.7gから316.5gと個人差が大きかった。解析の結果、aMEDスコア、AHEI、ENIが高いほどGrimAge2が低くなり、特にaMEDスコアとGrimAge2の関連は強いことが明らかになった。

疾患の早期発症に
つながる可能性も

 地中海食は、一般的に新鮮な野菜と果物、ナッツ類、豆類、全粒穀物、主な脂肪源としてのオリーブオイルを重点的に摂取する一方で、魚介類、赤肉、加工食品、砂糖を多く使った菓子の摂取を制限する。一方、添加糖類の摂取量が増えるほどGrimAge2も高くなり、添加糖類の摂取量が1g増加するごとにGrimAge2は0.02増加する可能性が示唆された。

 Epel氏は、「食事因子の中でも添加糖類を大量に摂取すると代謝の健康が損なわれ、疾患の早期発症につながることが明らかにされている。今回の研究により、添加糖類と疾患発症との関連の背景にはエピジェネティック年齢の加速が関係していることが示された。過剰な添加糖類の摂取は、健康的な長寿を妨げる多くの要因の一つである可能性がある」と話している。

 論文の上席著者である、米カリフォルニア大学バークレー校食品・栄養・集団健康学教授のBarbara Laraia氏は、「エピジェネティックな変化は可逆的であるように見えることを考えると、長期にわたって継続的に添加糖類を1日10g控えることは、エピジェネティック時計を2.4カ月戻すことに近いのかもしれない」と言う。

 同氏はさらに、「重要な栄養素を多く含み、添加糖類の少ない食品に焦点を置く食事法は、長生きを目指して体に良い食生活を心がけようとする人の意欲を高める新たな方法になる可能性がある」と付け加えている。

 一方、論文の筆頭著者であるUCSF、Osher Center for Integrative HealthのDorothy Chiu氏は、「われわれが調査した食事内容は、疾病予防と健康増進のための既存の推奨内容と一致しており、特に、抗酸化作用と抗炎症作用のある栄養素の効力が強調されている。ライフスタイル医学の立場から言えば、これらの勧告に従うことで、暦年齢に比べて生物学的年齢が若くなる可能性があるということは、心強いことだ」と述べている。(HealthDay News 2024年7月29日)

https://www.healthday.com/health-news/nutrition/avoiding-one-nutrient-can-keep-your-cells-young

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