この訴訟は、ホクシンメディカルに加え、同社創業者が代表を兼務していたA社およびX氏も被告となっている。訴訟記録によると、原告(金融業者)は2017年9月から2018年1月にA社に資金を貸し付け、ホクシンメディカルと創業者が連帯保証をしていた。その後、A社は支払い猶予(リスケ)を要請し、合意されたという。こうしたなか、2024年3月に創業者が死去したことで、A社は同月末の約定弁済を履行できなかった。

 原告は、期限利益の喪失が確定したとして、唯一の相続人であるX氏が連帯保証債務を承継したと主張するが、X氏から支払いはなかった。このため、原告は今年4月に東京地裁に提訴した。

代表の就任登記が異例の「抹消」
Y氏が新たな代表に就任

 こうした状況に並行して、空転するホクシンメディカルの経営陣人事に注目が集まっていた。5月以降、ホクシンメディカルの商業登記簿を確認しても、登記事項の変更を示す「登記事件中」が長い間続き、確認ができなかった。関係者によると、提出書類に不備があり、登記内容の変更が長引いたという。

 6月中旬にようやく閲覧できた商業登記簿は、4月2日付けで新たにY氏が代表取締役に就任した旨が記載されていた。登記日は5月29日だ。これまで登記簿では、X氏が代表取締役に就任(登記日4月1日)したのは3月12日と記載されていたが、この登記自体が5月29日付で抹消されていた。

 代表取締役の就任登記が抹消されるのはまれだ。関係者のひとりは、連帯保証債務に関連した訴訟とホクシンメディカル株式の相続が関係していると耳打ちする。