帝国データバンクが4月8日に発表した2023年度の全国企業倒産は、前年度比で約3割増の8881件となった。特に目立ったのが、「飲食店」と「医療機関」で、ともに倒産件数は過去最多となった。調査結果の詳細と今後の見通しについて解説する。(帝国データバンク 情報統括部 情報取材課長 阿部成伸)
23年度の企業倒産は8881件
人手不足、物価高による倒産が過去最多
帝国データバンクが4月8日に発表した2023年度(2023年4月~2024年3月)の全国企業倒産(法的整理かつ負債1000万円以上)は、前年度比30.6%増の8881件、負債総額は前年度比4.1%増の2兆4344億7400万円となった。
件数は全7業種、全9地域において前年度比で増加となったほか、「人手不足倒産」(313件、前年度比114.4%増)、「後継者難倒産」(586件、同20.3%増)、「物価高(インフレ)倒産」(837件、同80.8%増)などが過去最多を更新した。
企業における人材確保や価格転嫁がより大きな経営課題となるなか、企業倒産は引き続き増加傾向にあり、今年に入ってからは1月(700件、前年同月比28.2%)、2月(734件、同27.9%増)、3月(870件、同8.7%増)と推移。2024年は2023年(8497件)を17.7%上回れば年間件数1万件となるが、1月~3月の累計(2304件)は前年同期を20.0%上回っており、今の時点で「年間1万件」は現実的となっている。
こうしたなかで、2023年度に目立ったのが「飲食店」と「医療機関」の倒産だ。ともに過去最多となり、今年度さらに増加する可能性がある。