本間浩介
新聞用紙の生産では国内4位の丸住製紙(四国中央市)が2月28日、負債総額約590億円を抱えて民事再生法の適用を申請した。愛媛県では過去2番目の大型倒産で、取引先や雇用への影響は小さくない。東京商工リサーチは丸住製紙の倒産前から取材を続けてきたが、4月以降、従業員の大規模な解雇や休止事業の再開延期など、再建の柱になるはずの事業からの撤退情報が駆け巡っている。「川之江の雄」と称された名門企業がなぜ行き詰まったのか。今後の再生計画はどうなるかを追いかけた。

2024年の上場企業の早期・希望退職に異変が生じている。今年判明した募集者数は53社、9219人にのぼる。年間で3161人だった前年の3倍に達し、2021年以来、3年ぶりに1万人を超えることがほぼ確実になった。最近の早期・希望退職の大きな特徴は、実施企業の約6割が黒字企業で、対象年齢も30代の若い世代や勤続年数が短い従業員にまで広がっていることだ。人手不足が深刻さを増すなか、希望退職の加速は奇異に映るが、不一致の背景には企業の事業戦略への「選択と集中」と、企業が求める人材のスキルのミスマッチがある。日本型の終身雇用が終焉し、欧米型の雇用体系へと動き出す予兆なのか。

急成長の医療機器商社はなぜ突然破綻したのか?「創業者死去→不可解な崩壊」のウラ事情
業界トップクラスの医療機器商社、(株)ホクシンメディカル(神戸市)が事業停止状態に陥り4月25日、行き詰まった。負債総額は112億4334万円(2023年3月期決算)に及ぶ。今年3月に創業者の代表(以下創業者)が死去してからわずかひと月あまりの出来事だった。順調な経営と思われていた同社だったが、取引先への支払い遅延の発生から銀行取引停止に追い込まれ、混乱が続いた。突然の破綻に、元従業員は「社内外へ(状況を知らせる)文書が一切なく、何が起きているかのわからない」と困惑する。金融機関の担当者も、「この規模で代表の死去でここまでの事態に陥ることは考えにくい」といぶかしがる。ホクシンメディカルに一体何が起こっていたのか――。
