「スポーツ競技そのものを中継するだけでは視聴率が稼げない。だから様々な演出を加えて視聴者を惹きつける必要がある」と、テレビ関係者は口を揃えて強調する。

 テレビは、どのような演出をすれば視聴者を惹きつけられるのかを十分心得ている。それは、視聴者にとって刺激的であり、情緒に訴えるセンセーショナルな番組作りということだ。

 国際的な競技大会の中継を観れば一目瞭然のように、様々なタレントを起用して歌やトークで、「がんばれ!ニッポン!」と盛り上げる。視聴者は、競技に関心があるわけではなく、起用されたタレントに惹かれて観る人も多く、競技のファンとして定着することはあまりない。テレビは、視聴率さえ稼げればいいのであって、競技のファンが定着するかどうかということには無関心なのだ。

選手や監督までアイドル化
「俄かスター」を創出

 タレント起用ばかりでなく、テレビは選手そのもののタレント化やアイドル化の演出も積極的に行なう。選手を愛称で呼ぶのはその1つだろう。やわらちゃん(柔道の谷亮子選手)、愛ちゃん(卓球の福原愛選手)、メグ(バレーボールの栗原恵選手)、オグシオ(バドミントンの小椋久美子、潮田玲子両選手)などなど。 また、選手や監督をスポーツと関係のないバラエティー番組に出演させるのも明らかにタレント化を狙ったものといえよう。

 テレビは、視聴率稼ぎのために常時“スター”を求めている。しかし、スポーツ界に名実共にスターといえる存在は極めて少ない。それゆえ、テレビは選手や監督をタレント化し、選手の国際レベルでの実力をろくに分析もしないで、安易に「メダル候補」にでっち上げて“俄かスター”に祭り上げたりする。

 そうしたテレビの姿勢を選手はどう考えているのだろうか。第一生命女子陸上部監督・山下佐知子さんは、こう話した。