4月17日に開催された政府の産業競争力会議で、「アベノミクス戦略特区(国家戦略特区)」の創設に向けて検討を開始することが決定されました。その制度設計は来月から始まるようですが、そのプロセスがどうなるかが、成長戦略のみならず安倍政権の今後の経済運営の試金石となるのではないでしょうか。
新聞による誤った2つの報道
アベノミクス戦略特区は、産業競争力会議で民間委員の竹中平蔵先生が提案したのですが、その内容についてはまず新聞の誤った報道を修正しておくべきでしょう。
今週前半の新聞報道をみると、この特区について2つの誤報がありました。1つは、東京都が都営地下鉄を24時間化するという報道です。産業競争力会議のHPに公開されている竹中先生の配布資料をみれば明らかですが、“都営交通”と書いており、“都営地下鉄”とは一言も書いていません。かつ、猪瀬知事の会見内容からも明らかなとおり、ここで意図されているのは“都営バス”の24時間化です。
もう1つは、この特区が東京、大阪、愛知といった大都市だけを対象としているかのような報道です。しかし、これも竹中委員の配布資料をみれば明らかなように、これら3都市の特区の内容はあくまで参考事例として書かれており、他に農業特区など地方都市が取り組む内容も記されています。つまり、この特区は大都市のみならず地方も含めた日本中の全自治体が、地元で大胆な規制改革に取り組む気があるなら実施できるスキームになっているのです。実際、今回の特区提案を受けて早速検討を始めている地方の自治体もあると聞いていますので、大都市偏重の特区ではないのです。
評価すべき閣僚と官僚の変質
それはともかく、4月17日の産業競争力会議で配布された資料などを見ますと、アベノミクス戦略特区の創設は、特区という政策ダマが決定された以上に大きな意味があるように思われます。それは一言で言えば、閣僚や官僚の改革に対するやる気が見えたという点です。