じつはこの中国人女性はスパイで、自民党の参議院議員の私設秘書となり、事務所や議員会館に出入りしていたこともわかっています。

 とくに議員会館内では、法案を作るための資料作成にあたって中央官庁の幹部を呼びつけて説明させたり、内部資料などもやり取りします。

 FAXやメールで重要な資料が送られてくることも多く、議員会館に出入りできれば、それらの機密書類を見ることも写真を撮ることもできます。

 その上、どのような人たちとやり取りしているのかチェックすることもできるわけです。

 このようなスパイ行為を、どのように防げばいいのでしょうか。

 企業の場合なら、まずは社員が社内情報にアクセスできる権限を明確に決めることです。その際、社内情報の重要度ランクも明らかにして、「機密なのか、機密ではないのか」明確にすることが大事です。

 そのうえで機密情報にアクセスできる人間を定めて、さらにアクセスするときには許可制にするなどして制限をかけます。アクセス権限がある人でもアクセスをしていることがわかるようにして、ときどきログを調べ点検すれば、不正な情報漏洩はかなり防げるはずです。

 また社員の退職がわかったらすぐに情報にアクセスできなくすることも必要でしょう。

 さらに厳重にガードするには、事業所や研究所内に入るにはパスを持っている人しか入室できないように厳密にコントロールすることです。

 指定した特定場所ではスマホの持ち込みも禁止にすれば、なおいいでしょう。古典的ですが、スマホでパソコンの画面を写真に撮ることで情報を盗む手口もまだまだあるからです。

ポイント
 会社の機密情報にアクセスできる人は、予想もしないところからのアプローチもある。自分はスパイとは関係ないと考えない。