2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は中外製薬や武田薬品工業などの「製薬」業界4社について解説する。(ダイヤモンド・ライフ編集部 笠原里穂)
中外製薬は2桁増収でも
通期減収予想の理由とは?
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「製薬」業界4社。対象期間は2024年4~6月期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・中外製薬
増収率:18.1%(当四半期の売上収益3159億円)
・武田薬品工業
増収率:14.1%(当四半期の売上収益1兆2080億円)
・第一三共
増収率:24.3%(当四半期の売上収益4362億円)
・アステラス製薬
増収率:26.2%(当四半期の売上収益4731億円)
今回取り上げた製薬業界の4社は、いずれも前年同期比で増収だった。
中外製薬は3四半期ぶりに四半期増収率がプラスに転じた。前年同期比で2桁増収となっている。ただ、今期(24年12月期)の通期では減収予想としている。その要因は何か。
また、業績予想の数字では一見好調に見える「ある企業」で留意しておきたいポイントとは。
次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに解説する。