101歳、現役の化粧品販売員として活躍している堀野智子(トモコ)さん。累計売上高は約1億3000万円で、「最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定されたキャリア61年のトモコさんが、年をとるほど働くのが楽しくなる50の知恵を初公開した話題の書『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)が「堀野氏の技法は、ヒュミント(人間による情報収集活動)にも応用できる」と絶賛(日刊ゲンダイ・週末オススメ本ミシュラン)する世界一の先輩による“人生訓”は、アナタの疲れた心を元気にしてくれる!

失ったものを数えるより、いま手にしているものを数えるほうがいいPhoto: Adobe Stock

15年務めた
営業所長を辞める

営業エリアを統括しているマネジャーに「こういう事情で営業所長をやめさせていただきたい」と告げたところ、驚かれはしましたが、引き留められることはありませんでした。

当時は今よりも一家の主(あるじ)の意向第一という風潮が残っていたので、主人が定年退職するのでやめたいというのに、反対するわけにはいかないと思われたのかもしれません。

私が営業所長をやめることになって、営業所自体を閉じることになりました。事前に営業所のみんなに事情を話して、「みなさん、自分の行きたい営業所に行ってくださいね」とお願いしました。

ヒラの営業に戻り
収入は逆戻り

私は元いた営業所に戻ったのですが、メンバーの半分くらいは「堀野さんと一緒のところに行きたい」とついてきてくれたんです。それは、やはりうれしかったですよ。

営業所長ではなくなり、セールスレディの1人になったので、収入は以前に逆戻りです。

お客様により多く喜ばれて、自分の収入も増やしていきたいという気持ちでやってきたので、収入減になったのは、正直ちょっと残念ではありました。

初心に立ち返ることの大切さ

でも営業所長としての役目を終え、再度、元の立場になってみると、それはそれでいいものだな、とも感じました。気がつけば、子どもたちの教育にお金のかかる期間もすでに終わっていて、そうあくせく働かなくてもすむようになっていたのです。

そうなると営業所全体の売り上げを気にしたり、スタッフを雇い入れるのに心を砕いたりすることなく、自分がお客様とどう関わっていくかということだけに集中すればいい立場は、決して悪いものではなかったのです。

むしろ、初心に帰ることができてよかったかもしれません。

失ったものより
今あるものを数える

さらに今回は主人という運転手つきです。私自身は車の運転をしませんから、どこにセールスに行くにも、自分の足を使わなければならなかったのに比べると、主人の車でどこにでも連れて行ってもらえるのは本当に楽でした。

ものは考えようだなと、このときしみじみ思ったものです。失ったものを数えるより、今手にしているものを数えるほうがいいですものね。

営業所長という立場を失った代わりに、自分にとって楽な働き方が手に入ったのだと自然に思えるようになっていきました。

※本稿は、『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。