業績不振の企業だけでなく
好調な企業でも「優秀な人」は辞める!
今回は、転職エージェントとして活動している筆者が「優秀な人材が辞めていく組織」の実態について解説します。
そうした組織の特徴として典型的なのは「業績悪化が起きている」ということです。例えば、世の中のペーパーレス化に対応できずに「紙の利用」を前提としたビジネスを展開している旧来型企業があるとします。
この会社では、経営者が有効な手を打たない限り、業績がどんどん悪化していくはずです。改善の兆しが見えなければ、優秀な従業員は見切りを付けて辞めていくでしょう。もしくは、まだ業績が悪化していない段階でも、優秀な人はその兆しが見えた時点で「将来性がない」と感じて辞めていくことがあります。
これらの現象が起きるのは、旧来型企業だけではありません。一見すると将来有望なスタートアップから、優秀な人材がどんどん辞めていくケースもあります。
プレゼンテーションが上手なスタートアップの経営者は資金をたくさん集められるので、調達した資金で優秀な人をどんどん採用できます。しかし、例えばSaaSの会社でいつまでたってもバグが直らず、チャーンレート(解約率)が上がっているのに経営陣は改善に本腰を入れない……といった事態が起きるとどうなるでしょうか。
社員が優秀であればあるほど、「経営陣に危機感がないな」「外側からはよく見えるかもしれないが、この会社の先は長くなさそうだ……」と考えて脱出していくのです。
また、新興企業には「現在は投資フェーズで、回収フェーズはまだ先」といった理由で経営者が赤字を正当化し、肝心の商品やサービスの改良を怠ったり、顧客と正面から向き合わなかったりする例がみられます。こうした会社も、優秀な社員から見切りをつけられがちです。
ですが、それだけではありません。ビジネスの世界には「業績が好調なのに優秀な人が辞めていく組織」も存在します。こういった組織の中では、何が起きているのでしょうか――。