「つがいとしての価値」は
時間とともに消滅する

 なぜスコアが変化したのか、イーストウィックとハントはこう説明します。

 人は誰かに出会うと、最初は、その人の総合的な魅力や振る舞いなどつがいとしての価値にもとづいて評価します。やがてその人と親しくなり、体験を共有するにつれて、その人が内に秘めた独自の価値を発見するようになります。

 教室の実験では、学生が最初に互いを評価したとき、その答えはおおむね性的魅力にもとづいたつがいとしての価値を反映したもので、大半の人が同じ人物をセクシーだと感じました。

 しかし学期の終わりには、学生は互いを独自の価値にもとづいて評価するようになり、その結果は誰と仲良くなったかに左右されていました。多くの場合、おそらく単純接触効果のせいで、学生は初回の授業のときよりもクラスメイトを好きになっていました。

 つがいとしての価値は時間とともに消滅します。大切なのは、相手と親しくなったときに相手に対してどのような感情を抱くか、ということです。

 この現象は教室の外でも起こります。私たちは初めて会った人に対して、主に外見にもとづいて第一印象を抱きます。けれどもその人をもっとよく知るにしたがって、その人の存在感が大きくなり、違った見方をするようになるのです。

 これは、セックスにも当てはまります。最高のセックスは魔法のように突然起こるものではありません。一夜かぎりのひどいセックスを体験したことのある人ならわかると思いますが、相手(と自分)の体や好みを知り、互いにリズムを合わせるには時間がかかるのです。