中国はその巨大な輸出体制を再び強化している。今回はライバルの隠れ場所はどこにもない。米マサチューセッツ州のスタートアップ企業、キュービックPVは、太陽光パネルのハイテク部品であるシリコンウエハーに賭けることにした。ジョー・バイデン大統領は2年前に気候変動対策を盛り込んだ「インフレ抑制法」を成立させ、これに基づきキュービックPVは数十億ドルの税額控除と政府の融資を受けた。2022年末には14億ドル(約2000億円)を投じてテキサス州にウエハー工場を建設する計画を発表した。それ以降、中国はシリコンウエハーの生産量をほぼ倍増させている。これは中国に必要な量をはるかに超え、どこかに余分なウエハーの行き場を求めていた。それらは国外に輸出され、価格を70%も押し下げた。キュービックPVは今年初め、生産計画を中止せざるを得なくなり、エンジニアなどの従業員が職を失うことになった。同社は「中国の過剰生産能力の結果として市場がゆがめられた」ことを理由に挙げた。
中国が新貿易戦争を始めた理由
経済成長が頭打ちとなり、製造業の猛プッシュを決意した習指導部
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