「いつも、考えすぎて損してばかり!!」
日本人は礼儀正しくて、とても優秀……なのに、日々必要以上に思い悩んでいないだろうか?
“究極の合理思考”を身につければ、もっと楽しくラクになる」――。数十億規模の案件に関わり、インド人部下オペレーションを経験したインド麦茶氏は、「常に自分中心」「短期志向」「無計画で今を生きている」ように見える彼らに「日本人が幸せを謳歌するための“ヒント”」を見出したという。
新刊『インド人は悩まない』では、人口14億・上位1%が富の40%以上を所有する超競争・過密・格差社会を生き抜く人々の「規格外の行動力」と「抜け目なさ」の秘密を紹介している。今回はその魅力の中から一部をお届けする。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)

「退職代行」とは何だったのか…「会社を辞めると言い出せない」日本人の深層心理が海外で“全然理解されない”ワケPhoto: Adobe Stock

日本で流行した「退職代行」

退職代行サービス『モームリ』を運営する会社が摘発されたが、退職代行というサービス自体は、日本で凄い勢いで利用者が増加しており、驚くべきことに退職者の15%程度が利用経験ありというデータも出ている。
あなたは、自分にとって退職や転職が最善の選択だと分かったとき、会社にそれを言い出すことを躊躇して思い悩むだろうか、悩まずにさらっと退職できるだろうか?

生真面目すぎる人は、自分が辞めたら会社がどうなるか、同僚の負担はどうなるかを考えてしまい退職に躊躇するかもしれない。プロジェクトの大事な場面で自分が辞めたら大変なことになるだろうと、会社や同僚のことを考えてしまうと、退職が自分にとって最善と分かっていても悩んでしまう。

たとえ契約上は退職が許されていても、大事な場面での離脱を上司からとがめられ、職場の仲間からの目線に耐えて仕事をすることが心理的に耐えられないという人もいる。退職代行サービスが流行る背景には、そんな心理的負担があり、これは「他人のことを考えすぎ」な、現代日本の文化を反映したようなサービスと言える。

人が簡単に辞めるインドという国

私が働いているインドでは、人がいとも簡単に会社を辞める。全く悪びれる様子も、会社の運営を気にする様子もなく、「給料が1.5倍になるチャンスがあったので、そちらに行きます」と言って辞めていく。無論、会社側はその前提で採用活動をしているし、組織にバッファーを持たせているので、上司としては残念な気持ちにはなるが、非難という感情は全く起きない。

合理的に考えてみると、辞めた後の会社のことなど、従業員は考える必要はない。残される同僚の負荷も考える必要はない。それらは、辞めるあなたにとって今後一番関係のないことだ。それにもかかわらず、多くの日本人が上司や周囲の人の目が気になって悩んでいる。退職代行の隆盛は、退職や転職が当たり前になってきている世の中と、それを否定するような集団主義文化のひずみが生み出した過渡期的なサービスのようにも見える。

日本に根付く「集団主義」

思い出してみると、中学校や高校の運動部を途中で辞めるのは、もはや「人間の道」を踏み外すくらいの勢いで非難されるような時代もあった。今の部活動がどうなっているか、私は知る由もないが、部活を転々とすることが一般化しているという話を聞いたことはない。所属組織から途中離脱することへの非難や集団主義は、まだまだ日本に根付いている。

インド民が、あっけらかんとして退職していくのを見ていると、わざわざお金を払って退職代行を使わないと退職できないほど悩む日本の労働者がとても不思議に見えてくる。そんなことに悩まずに、もっとひたすらに自分の幸せを追求すればいい。

『インド人は悩まない』では、インドで暮らすインド民の日常と彼らの生き方から、日本人が学べる究極の合理思考を抽出し、日本の皆さんが取り入れられる形にまとめている。ぜひ、悩みを抱えて、まさに退職代行サービスを使うような人がいれば、インド民の姿を見ることで、心が軽くなって次の道に勢いよく踏み出すきっかけになるかもしれない。

好き勝手に生きている14億人

日本のローカルルールを振りかざして色々なことを言う人がいるかもしれないが、法律も犯していなければ、契約にも違反していないのであれば、堂々と自分の利益を追求するくらいの図太い精神を標準装備にしておきたい。

中には、「ここは日本だから日本の職業倫理感が大事だ」という意見もあるだろう。ただ、どこで線を引くのかはそれぞれ個人の自由だ。国境で線を引きたい者がいれば引けばいい。しかし、ここまで世界が繋がっている時代に、その線引きにどれだけの意味があるだろうか。7時間のフライトがあればすぐに行けるようなところで、14億人が今日も好き勝手生きているのである。

(本記事は『インド人は悩まない』に関する特別な書き下ろし原稿です)