資産800億円!伝説の投資家が教える“圧倒的に有利”な投資先「円で運用するなら…」資産800億円の伝説の投資家・清原達郎氏の楽観シナリオとは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA
*本記事は本の要約サイト flier(フライヤー)からの転載です。

 国税庁が2005年に公表した「長者番付」に1位として掲載されたのが、本書の著者・清原達郎氏だ。当時は、ヘッジファンドのタワー投資顧問で運用部長を務めるサラリーマンだった。

資産800億円!伝説の投資家が教える“圧倒的に有利”な投資先「円で運用するなら…」『わが投資術 市場は誰に微笑むか』 清原達郎著 講談社刊 1980円(税込)

 ヘッジファンドとは、「顧客から預かった資産を代わりに運用して利益を出す投資会社」を指す。著者はそこで「K1ファンド」を立ち上げ、25年経ったところでその閉鎖と引退を決めた。ファンドにその報酬のほとんどを注ぎ込み、運用資産の半分を担っていた清原氏の個人資産総額は、ファンド閉鎖時にはおよそ800億円を超えていたという。本書はその中で培われたノウハウをすべて公開しようと企図したものだ。大きな浮き沈みの中で学んだこと、感じたことが余すことなく書かれている。

 ただし、よく見る投資本のようにグラフや図表が盛りだくさんの“具体的なハウツー”ではない。やさしい口ぶりで教えてくれるわけでもない。ここにあるのは、数々の失敗体験と、そこからの大きな成功によって得られた“リアルな声”だ。いかにリターンを得られたかによって評価されるヘッジファンドの厳しい世界を示しているが、「株式投資の楽しさも伝えたい」という思いもこぼれている。

 咽頭がんの手術で声を失い、結果を出し続ける情熱も失ったという著者。しかし、ITバブル、リーマンショック、パンデミックを生き抜いてきた「実践の歴史」には、熱く人間的な感情が香る。そこにあるのは、投資ノンフィクションとしての一代記だ。(林 美夢)