高配当・半導体・生成AI超進化!5年後の業界地図#20Photo:winhorse/gettyimages

爆発的な破壊力を秘める「割安小型成長株」を発掘するためにはどうすればいいのか。特集『高配当・半導体・生成AI超進化!5年後の業界地図』の#20では、大きな反響を呼んだ「清原達郎式のスクリーニング術」の「最新版」をお届けする。圧倒的な成績を残した「伝説のサラリーマン投資家」が実践してきた割安小型成長株投資の極意とは?また、最新決算を反映した清原式投資への入り口となる213銘柄も一挙公開する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

清原式「ネットキャッシュ比率」で
割安小型成長株を発掘しよう

 個人資産総額800億円を超える「伝説の投資家」清原達郎氏。個人投資家やビジネスマンからの注目度も高く、4月5日に公開した『清原達郎式「小型成長株投資」の候補240銘柄を抽出!ネットキャッシュ比率で浮かぶ割安株リスト』は大きな反響を呼んだ。著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社)も投資本として異例の売れ行きとなっている。

 そこで今回は最新決算を踏まえた「【最新版】清原達郎式『割安小型成長株投資』の候補銘柄」を紹介する。

 その前に簡単に清原達郎氏について紹介しておこう。

 清原氏は1998年にタワー投資顧問の基幹ファンドの運用開始後、四半世紀で93倍という驚異的なパフォーマンスをたたき出してきた。また、2005年には100億円を稼ぎ、最後の高額納税者名簿(長者番付)で全国トップに名を連ね、「伝説のサラリーマン投資家」とも呼ばれた投資家である(3月29日公開『最後の「長者番付1位」投資家・清原達郎氏が明かす!注目の経営者、リスクとの向き合い方…』など参照)。

 その清原氏のポートフォリオにおいて、大きな部分を占めていたのが「割安小型株」である。なぜならば「小型株の多くは基本割安に放置されていて、その中で成長株を見つけて投資できれば、爆発的な破壊力になる」(清原氏)からである。

 株価の割安度を判断する代表的な指標に「PER(株価収益率)」と「PBR(株価純資産倍率)」がある。

 PERは株価をEPS(1株当たり当期純利益)で割って算出。PBRは株価をBPS(1株当たり純資産)で割って算出。どちらも低いほど割安と判断される。ざっくり言えば、PERは利益面で、PBRは資産面で割安度を判断する指標である。

 清原氏は株価の割安さを見る中で、最も重視するのがPERだとしつつ、「将来の利益から割り出した適正なPER」だけでは、株式の価値を計測できないと指摘する。会社のバランスシート上の資産や借金を含めた、財務構造をそろえて計算を行う必要があるからだ。

 またPBRについては「評価基準としてあまり役に立たない」と指摘する。その理由は後ほど解説するが、清原氏がPERに加えて重視している指標が「ネットキャッシュ比率」である。

 ネットキャッシュとは、企業が保有する現金や預金、有価証券から有利子負債を引いた金額のことである。清原氏は独自の観点から、ネットキャッシュとネットキャッシュ比率を以下のように定義している。

◆ネットキャッシュ=流動資産+投資有価証券×70%-負債
◆ネットキャッシュ比率=ネットキャッシュ÷時価総額=(流動資産+投資有価証券×70%-負債)÷時価総額

 ネットキャッシュ比率が1以上であれば、「会社がただで買えるほど割安」といえることになる。投資有価証券を70%で評価しているのは税金などを考慮しているからだ。

 清原氏のファンド運用時は、「このスクリーニングを数カ月に1回やって割安銘柄の候補を探していた」という。だが、残念ながら個人投資家の場合、ネットキャッシュ比率を算出するのは難しい。

 そこで次ページでは、ダイヤモンド編集部が算出した最新決算を反映した「清原式【最新版】ネットキャッシュ比率1以上」を満たす中小型213銘柄を一挙公開。また、清原氏がPBRではなくネットキャッシュ比率に注目する意味や、割安小型成長株が爆発的破壊力を秘めている理由についても明らかにする。

「清原式」は長期投資が基本。一度銘柄を購入したら頻繁に売買する必要もないので、新NISA(少額投資非課税制度)で投資を始めた初心者もぜひチェックしてほしい。