東京証券取引所グロース市場に上場するジーネクストが創業者と対立し、今月2度にわたる異例の臨時株主総会を開く。前代未聞の事態に関係者や法曹界の注目が集まるが、そもそも騒動の発端に何があったのか。まさに資本主義の「闇」を感じざるを得ない、驚愕の事実があった。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
オーナー社長が明かした
自社株の売却先とは…
「5月14日に私の持ち株を譲渡しようと考えている」
ジーネクスト(東京・千代田区)が今年5月9日に開いた取締役会で、突然そう言い出したのは創業者で当時の社長、横治祐介氏だった。
横治氏は日本大学卒業後、2000年にゲーム会社就職を経て独立。システムエンジニアとしてメーカーの「お客さま相談室」のシステム開発に携わり、コールセンターの顧客対応システムなどを手掛けるジーネクストを01年に創業した。21年3月に東証マザーズ(現グロース)上場を果たしている。
だが上場2年目に赤字に転落して以来、業績が低迷。さまざまな資金調達が検討された中、横治氏がこの日明かした内容は、自身が持つ35%の自社株のうち、TOB(株式公開買い付け)実施の必要がない上限の33%を第三者に譲渡するというものだった。
問題は、横治氏がその株を誰に、どんな理由で売却するかだ。それにより会社の経営主体が変わる。取締役会の席上でも当然、他の取締役から質問が相次いだ。
このときの横治氏の発言がその後、ジーネクストを前代未聞の騒動に巻き込んでいくことになる。その全貌を次ページで明らかにする。