政府は7月に公募を締め切った洋上風力発電プロジェクトコンペ「第3ラウンド」で、応札した全陣営の顔触れがダイヤモンド編集部の取材で分かった。今回は青森県沖と山形県沖の2エリアが対象となる。長期連載『エネルギー動乱』で配信している特集『混戦!洋上風力第3ラウンド』の#2では、応札した全7陣営20企業の顔触れに加え、洋上風力コンペ第3ラウンドで相次いだ“異変”について明らかにする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
山形の先行事業者
コスモエコパワーが撤退
政府による洋上風力発電プロジェクトコンペ「第3ラウンド」は、青森県沖日本海(南側)と山形県遊佐町沖の2エリアが対象で、7月19日に公募が締め切られた。
第3ラウンドは当初、青森と山形の両エリアとも超激戦区になると予想されていた。なぜなら、事業化を前提とする環境影響評価(環境アセス)を実施したのは、青森県沖で10社以上、山形県沖についてはなんと20社以上にも及んだのだ。これだけの事業者が第3ラウンドにこぞって参戦しようとしたのは、両エリアとも風況が良いからだ。
ところが、である。第3ラウンドの公募締め切り直前の土壇場で、撤退を余儀なくされる事業者が続出したのだ。
第3ラウンドに詳しい複数のエネルギー業界関係者によれば、その代表格が先行事業者の一つだった、石油元売り大手コスモエネルギーホールディングス(HD)の子会社であるコスモエコパワーだ。青森と山形の両エリアで応札を断念した。
第1、第2ラウンドで2連敗を喫したコスモは、「三度目の正直」として第3ラウンドに挑むはずだった。しかし、高止まりする資材高や労務費の高騰などを考慮し、仮に第3ラウンドを勝ち抜いたとしても採算が厳しいと判断したもようだ。
コスモエコパワーに詳しいエネルギー業界関係者は「洋上風力は競争が激しいレッドオーシャンで、コスモエコパワーは『いったん休戦』の状態に入った」と明かす。
いったん休戦に入ったのは、コスモエコパワーだけではない。海外で洋上風力発電プロジェクトの実績を持つ大物プレーヤーまでもが応札を断念したのだ。
次ページでは、エネルギー業界関係者への徹底取材を基に判明した第3ラウンドに応札した全7陣営20企業の実名を解き明かす。第3ラウンドでは初顔が多く登場し、外資系エネルギー会社もこぞって参戦した。また、第3ラウンドで撤退を余儀なくされた大物プレーヤーらの裏事情もつまびらかにする。