楽天グループの携帯電話子会社、楽天モバイルの携帯電話の契約回線数が急増している。ダイヤモンド編集部の入手した内部資料によると、8月19日現在で730万回線を突破した。2024年1月からの純増数は実に130万回線を超える。競合他社も違和感を抱く楽天モバイルの契約急増の要因とは。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
“契約急増”のけん引役か?
「三木谷割」の実績判明
「(楽天モバイルの)『最強プラン』は他社がまねをしづらい魅力的な料金プランだ」
楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は8月9日の決算会見で、楽天モバイルの携帯電話の契約回線数の急増に胸を張った。
楽天が発表した携帯電話回線数は8月7日現在で726万回線。2023年12月末の598万回線から130万回線近くの伸びである。
国内の携帯電話市場が飽和状態にある中で、楽天モバイルの契約数は驚異的な増加を示したということだが、これに対して競合他社は驚きの声を上げている。
ソフトバンクの宮川潤一社長は「どこからそういう純増が湧いて出ているのか、われわれが見ていなかったマーケットがあるのだろうか」と首をかしげた。KDDIの髙橋誠社長は「あれだけ短期間で(契約の)数字が上がっているのは少し違和感がある」と疑問を投げかけた。
競合も注視する楽天モバイルの契約急増。実際には、どこから“純増が湧いて”いるのか。また、楽天モバイル社内ではどのような営業施策が採られているのか。
ダイヤモンド編集部は、楽天モバイルの月次の契約回線数に関する最新の内部資料を独自に入手した。それによると、8月19日現在の契約数は730万回線で、楽天の決算発表後も着実に伸ばしていることが分かる。
さらに、23年12月から展開している「楽天モバイル従業員紹介キャンペーン」の実績データも入手することができた。このキャンペーンは契約者に対し最大1万4000ポイントを還元する施策で「三木谷割」と呼ばれ、足元の急激な契約増の要因の一つとみられている。
次ページでは、メディア初公開となる内部の詳細データを基に、楽天モバイルの契約が急増した「理由」を解き明かしていく。