規模では業界2位に転落した損害保険業界の雄、東京海上ホールディングスだが、時価総額は依然として断トツ。その背景には二つの要因があった。

 長らく名実共に損害保険業界のトップに君臨してきた東京海上ホールディングス。

 その東京海上が売上高に相当する正味収入保険料で、他損保の後塵を拝する事態に陥ったのは2010年度のこと。三井住友海上グループホールディングスとあいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険の3社が経営統合したからだ(現MS&ADインシュアランスグループホールディングス)。

 その後も東京海上は正味収入保険料で2位の座に甘んじており、12年度4~12月期累計ではついに、純利益でもMS&ADに追い抜かれてしまった(図1)。

 では東京海上はもう業界の“盟主”ではなくなってしまったのか。いや、決してそうとはいえない。それは、企業価値を表す時価総額を見れば明らかだ。

 13年4月9日時点の時価総額は東京海上が2兆2554億円、一方のMS&ADは1兆4749億円と東京海上の約3分の2。ちなみに、損保ジャパンと日本興亜損害保険が経営統合してできたNKSJホールディングスは9133億円と、差は歴然。この差は何なのか。理由は、大きく二つある。

 一つ目は、東京海上の海外保険事業の成長力だ。国内損保事業は自動車保険が過半を占めるが、収支はよくてトントン、大半が赤字だ。しかも若者の自動車離れなどから成長は見込めず、グローバル展開が急務となっている。その中でここ数年、相次いで海外の保険会社を買収し、成功を収めているのが東京海上なのだ。