レバノンとシリアに展開するイスラム教シーア派組織レバノン当局によると、通信機器がほぼ同時に爆発したことで、4000人以上が負傷し、11人が死亡したという。この機器はヒズボラが最近受け取った荷物に含まれていたもので、盗聴されやすい携帯電話を使わずに連絡を取り合うため、メンバーに配られた。その判断が裏目に出た。ヒズボラ関係者は報道機関に対し、この通信機器の中に特定の信号によって爆発を起こさせるマルウエア(悪意あるソフト)が組み込まれていた可能性があるとの見方を示した。マルウエアが機器の電池を過熱させたか、機器内に仕掛けられていた爆薬が遠隔操作で爆発した可能性があるという。レバノン政府とヒズボラはイスラエルの仕業だとしているが、イスラエルはコメントを控えている。だが、オッカムのかみそり(物事を説明するための仮説は最小限であるべきだとする説)に基づいて考えれば、これはイスラエルによる作戦だ。イスラエルはこれまで、情報と技術を駆使して敵陣の背後を攻撃することに驚くべき能力を示してきた。7月にはベイルートでヒズボラの指導者を殺害。イスラム組織ハマスの指導者イスマイル・ハニヤ氏がテヘランの軍用ゲストハウスで暗殺された事件の背後にも、ほぼ確実にイスラエルがいる。イスラエルは2020年、イランの著名な核科学者を殺害するために遠隔操作で制御できる機関銃を使ったと伝えられている。