中国発EC、米関税免除見直しで広告支出に影響もPhoto:David Becker/gettyimages

 バイデン米政権がデミニミス免除として知られる貿易条項を制限する方針を発表したことで、Temu(テム)やShein(シーイン)など中国発の電子商取引(EC)企業が米国に商品を発送するのが難しくなる恐れがある。米広告業界の最近の成長をけん引してきたエンジンがこれまでのように機能しなくなる可能性もある。

 デミニミスルールを利用すれば、価格が800ドル(約11万円)以下の貨物を関税なしで米国に輸入することが可能で、検査が行われることもほとんどない。しかし米国政府が提案する意向の新たなルールが導入されれば、貿易法で関税の対象となる商品を含む小包はデミニミスルールが適用されなくなる。米政権関係者によると、現在、中国の繊維・アパレル出荷の約7割がこうした関税の対象で、今後はより正式なルートを経由して米国に輸入せざるを得なくなる。

 あるアナリストによると、米国政府の措置によってテムやシーイン、アリババなどEC事業を展開する中国企業や中国発の企業に経済的圧力がかかり、米国の広告業界がこれまでのように成長できなくなる恐れがある。メディア投資会社マグナによれば、米国の広告支出は今年、この20年で最高水準に達する見込みだ。