米半導体大手インテルは3年前、時価総額が現在の2倍以上あり、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は企業買収を模索していた。
それが今では、インテル自身が買収の標的となっている。戦略上の失敗と人工知能(AI)ブームが相まって、米国で最も有名な半導体企業の運命は大きく変わった。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は20日、米同業クアルコムがインテルに買収を打診したと報じたが、これは56年に及ぶインテルの歴史でほとんど見られなかった脆弱(ぜいじゃく)性を映している。同社が問題を抱えるようになったのは、ゲルシンガー氏が就任する前の製造分野での失敗がきっかけだった。そして経費のかさむ再生戦略を同氏が推し進める中で、状況は悪化した。この戦略は、AIに対する関心が爆発的に高まり、競合相手のエヌビディアが製造する製品の一種に半導体需要が根本的にシフトすることを予見していなかった。