夏休みが終わればいよいよ入試に向けての仕上げの時期にはいってきます。どのようにして最終的な志望校を確定するのか、過去問はどのように進めればよいのか? 塾がお膳立てしてくれる最難関校はともかく、それ以外の学校を志望している子の親御さんは意外に情報がないといいます。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」をやり方を、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』から抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介します。

【中学受験のカリスマが教える】志望校選びで絶対にチェックすべき意外な盲点Photo: Adobe Stock

子どもの社会性形成と密接にかかわるのは

学校の教育手法や子どもの社会性形成と密接に関わってくるのが、「大規模校か小規模校か」です。
中学校の平均的な1学年の人数は150人ほど。一般的には300人以上(11クラス以上)であれば「大規模校」、100人以下(3クラス以下)であれば、わりと小規模なイメージになるのではないでしょうか? それぞれ、メリットやデメリットがありますので、見ていきましょう。

大規模校のメリットとデメリット

大規模校のメリットは、色々な人に知り合えるという点です。クラス替えによって様々なコミュニティーや個性、多様な考え方の中に身を置くことになり、社会性や協調性が学べます。部活動の種類も豊富で、学校行事は大規模で活気があり、壮観です。生徒の人数に応じてたくさんの教職員も必要になるので、バランスの取れた指導が可能になります。

ただ、先生の目が行き届きにくい分、特別に成績のいい子や注意の必要な子でなければ埋もれてしまいがちになり、その中で生きていくためには「たくましさ」が必要です。

また、教員の数自体が多いため、先生の朝礼が職員室ではなく体育館で行われるというケースも。先生同士が生徒の情報を交換することが難しく、「学校に連絡したことが共有されていない」という事態が起こりやすくなります。

小規模校のメリットとデメリット

小規模校のメリットは、先生の目が行き届きやすく、きめ細かな指導をしてもらえるという点です。一人ひとりが認知してもらえることから個性を伸ばし、自分の居場所を見つけやすくなります。人数が少ないため、他学年との交流も盛んになります。

WHO(世界保健機関)は「学校の規模が小さいほど教育効果が高い」という研究報告を受け、生徒が100人を上回らない規模が望ましい(中学ならば1学年33人以下)と発表しています。

ただ、クラス替えをしてもあまり出入りがないため、一度持たれた印象を覆すことが難しくなります。中1のふとしたことでつけられたあだ名が卒業するまで続く、ということも。

多様な考え方に触れる機会が持ちづらく、人数が少ないために学校行事や部活動の種類にも制約が出てきます。また、中学入試での募集が少ない学校は附属の小学校からの内部進学者が多く、ここで文化・価値観の衝突(金銭感覚や学力など)が起きやすくなります。

高校進学時に1割以上が抜ける学校は要注意!

また、これは大規模校、小規模校に限ったことではありませんが、「高校進学の時に1割以上が抜ける」学校は要注意です。中高一貫教育を求めて中学受験をしたのに、高校進学時に出ていくということは「学校に不満があるから」か「やめさせられるから」です。原因は「校風が合わない」「いじめ」「学業不振」など様々かと思いますが、本気で生徒を育てようという気概がある学校は、それらを解決しようと努力しています。恒常的に1割以上が高校から抜けるというのは、その学校の方向性としか言いようがありません。

子どもの個性によってどの規模の学校が向いているかの見極めも大切です。

*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。