ますます過熱する中学受験。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」をやり方を、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』が発売に。本書より抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介する。
5年生までの成績は「志望校」決定の参考にはなりにくい
志望校を選ぶ際、絶対に外せないのは「お子さんの学力」です。成績、塾のクラス、さらにシビアには偏差値と言い換えることができます。
ただし、基本的に5年生が終わるまでの成績はあまりあてにならず、私も6年生の初期段階でカウンセリングをする際は、4、5年生時の偏差値ではなく「現時点での子どもの能力」を見ます。というのも、5年生までの学習内容というのは、塾で習うことを丸暗記すれば一定の点数が取れてしまい、テストでもそれほどひねった問題は出されないからです。
4、5年生のうちは、現実的か否かを度外視して志望校を設定しても良いですが、6年生の春頃からは、ある程度現実的な学校を絞り込んでいく必要があります。
その一助として、どのあたりの学校を狙えるのか、次の指標を参考にしてみてください。ただし、11~12歳は成長度合いの個人差が非常に大きいため、必ずしもこの通りとは限りません。
テキストが半分以上自力で理解できるなら最難関校も
〇最難関校(四谷大塚の偏差値で70以上の学校)
塾のテキストの半分以上は自力で理解でき、塾のカリキュラムに乗った上で点数を出し、上位クラスにいられる。つまり、公開テスト(範囲の決まっていないテスト)も復習テスト(範囲の決まっているテスト)もそれなりの結果を出している。
ただし、低学年から家庭教師をつけたり、親の監視のもとで勉強漬けでギリギリ上位クラスの下の方に引っかかっている、というタイプは、6年生になると失速したり周囲に抜かれて、入試前に息切れしてしまう可能性大。
〇難関校(四谷大塚の偏差値で60以上の学校)
公開テストで正答率が70%以上の問題は基本的に落とさない(苦手分野はこの限りではない)。また復習テストに“自力で”対策をして臨んだ場合、7~8割は取る力がある。
〇中堅校(四谷大塚の偏差値で45以上の学校)
範囲の決まっている復習テストは、“親や家庭教師の力を借りて”対策をして臨んだ場合、7割以上は取る力がある。この層は塾との相性が非常に大きい。難関校以上向けの塾(サピックス、希学園など)で苦しんでいるならば、中堅校に強い塾(日能研など)に転塾すべき。
〇標準校(四谷大塚の偏差値で45未満の学校)
小学校のカラーテストで7~8割取れている。範囲の決まっている復習テストは、“親や家庭教師の力を借りて”対策をして臨んだ場合、5割程度は取る力がある。
ただし、小学校のカラーテストが5割前後であったり、子どもの成熟度が低く、あまりに親子衝突が激しいようならば、中学受験は要再考。
我が子の実力を親が判断するのは難しいと思いますが、現状に目をつぶって理想の志望校だけを追い求めるのも、能力がないと早々に諦めるのも、どちらも危険です。
塾や先生との相性、家庭でのフォローの仕方によって、成績は乱高下することを知っておいてほしいと思います。
*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。