夏休みが終わればいよいよ入試に向けての仕上げの時期にはいってきます。どのようにして最終的な志望校を確定するのか、過去問はどのように進めればよいのか? 塾がお膳立てしてくれる最難関校はともかく、それ以外の学校を志望している子の親御さんは意外に情報がないといいます。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」をやり方を、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』から抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介します。

【中学受験のカリスマ家庭教師が教える】諸説様々…。過去問は、いったい何年分取り組むのが正解なの?Photo: Adobe Stock

大量の過去問を雑に解き散らかすことに意味はない

過去問を解く年数や回数には都市伝説のようなものがあり、「20年分解く」「3回以上まわす」という説がまことしやかに流布していたりします。もちろん、入試傾向の変わらない学校は、解く余裕があれば20年分解いても良いですが、難易度、出題数、制限時間が異なる古い過去問を解いても、過去問対策にはなりません。

また同じものを何度も繰り返し解かせる先生もいます。何度も同じ問題を解くことで点数はたしかに上がりますが、それは子どもが答えを覚えてしまったからであり、実力が上がったわけではありません。

基本的に第一志望であれば赤本一冊分(5~8年分)、第二志望なら3~5年分、第三志望なら3年分が、私が目安としている過去問の回数です。大量の過去問を雑に解き散らかすのではなく、対策をした上で真剣に丁寧に解くことが何より大切です。

入試問題にはトレンドがある

社会や理科は、時事ネタを入試問題に反映させる学校も多いのですが、実は算数にもトレンドがあります。

かつては難関校以上でしか出題されなかったニュートン算が今は中堅校でも出題されたり、男子難関校以上でしか出題されなかった立体切断が今は女子中堅校でも出題されたりします。10年ほど前に流行った「不定方程式」や「三段つるかめ」も、ここ数年でもはや一般化。

このあたりは、入試が終わってすぐに開かれる大手塾の「入試報告会」で詳しく聞くことができます。

第二志望以下も問題形式に特徴があるなら、しっかり対策

第二志望に関しては、実際に解いてみて、点数が合格最低点を大きく上回っていれば3年分でもかまいません。

第三志望も基本3年分で良いのですが、いずれも出題傾向が異なり、子どもが思うように点数が取れない場合は前述した年数にとらわれず、慣れるまで解く必要があります。

例えば「普連土学園(東京都)」。ここの算数は必ず会話形式の問題が出題されますが、今までの算数の模試の感覚でいると「こんなに文字量が多いの?」と子どもは戸惑います。

こういった学校が第二・第三志望にくる場合には、注意が必要です。問題形式に特徴があるかどうかは本書の次の項目「頻出分野分析」をすればすぐにわかります。

*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。