夏休みが終わればいよいよ入試に向けての仕上げの時期にはいってきます。どのようにして最終的な志望校を確定するのか、過去問はどのように進めればよいのか? 塾がお膳立てしてくれる最難関校はともかく、それ以外の学校を志望している子の親御さんは意外に情報がないといいます。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」をやり方を、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』から抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介します。
算数以上にスピードが鍵を握る「国語」
過去問でとても多い相談の一つに、「国語が時間内に終わらない」というものがあります。
実は、算数以上にスピードが鍵を握るのが国語です。
受験国語の本文の文字数は、平均して約6000字。中には「聖光学院(神奈川県)」や「浦和明の星(埼玉県)」のように14000字を超える学校もあります(本書のP.270~277には、縦軸に各学校の偏差値、横軸に各学校の国語の読解の文章の文字数をプロットしたマトリクスを掲載しています)。
多くの学校が「物語文1題/説明文1題」の組み合わせとなりますが、中にはもちろん「物語文(説明文/随筆文)1題」のみという学校もあります。1題で10000字近くなると、もはや短編小説1本分ですね(芥川龍之介の「羅生門」は約6000字)。
さらにここに設問の文字数が加わると文章総字数は約8000字となり、制限時間内で「考えて解く/解答用紙に書く」手間が加わるため、入試では基本的に本文を読み返している時間がありません。
よって中学入試では、最終的に「40分で10000文字を読む」ことに慣れることを目標にする必要があります。これは凄まじいスピードです。
塾の模試(6年生)の文字量は、だいたい5000~6000字です。しかし、そのスピードで解いていると、学校によっては全く歯が立たなくなります。
スピードという観点では読書習慣も大事
よく「読書をしないから国語の点数が取れないのでしょうか?」というご相談を頂きますが、基本的に関係ありません。国語の問題を解くのに必要なのは「読解技術」です。
しかし、長文を読み慣れていることに加え、様々な背景知識を持っているという点では、やはり読書習慣のある子が俄然強くなります。
塾の先生によっては「問題文を読まずに、設問を読んで必要なところだけ本文に戻る」という指導をされることもありますが、それは本当に困った時の最終手段。全文読まねば解けない出題もあります。
入試に限ったことではありませんが、読書習慣はつけておくに越したことはありません。
*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。