「メールを書いていて『ありがとう』を連発してしまうときに使ってほしい感じのいい表現があります」
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? 本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
「ありがとう」を連発していない?
私は講師として、営業部門などでメール指導を行う機会が多くあります。
たびたび気になるのが、表現が単調になっているビジネスパーソンが多い点です。
特に、クライアントへのお礼メールでは、「ありがとうございます」が何度も繰り返されるケースが目立ちます。
以下は、よく見かける例です。
本日は、打ち合わせのお時間をいただき、ありがとうございました。
鈴木部長にもごあいさつの機会をいただき、ありがたく思っております。
また、さっそくのご発注、誠にありがとうございました。
このように「ありがとう」が連続すると、感謝の気持ちは伝わるものの、メール全体が単調で稚拙な印象を与えてしまいがちです。
では、どうすれば感謝の気持ちを効果的に伝えつつ、信頼感あるメールが書けるでしょうか。
「ありがとう」以外の語彙はあるか
まず、冒頭で伝える「ありがとう」は、もっとも感謝している事柄、ひとつに限定することです。
上の例でいえば、「本日は、打ち合わせのお時間をいただき、ありがとうございました」になるでしょう。
その他の「感謝」は、他の表現を使います。
他の表現のおすすめは、具体的な状況や相手の行為に焦点を当てた感謝の言葉です。
以下のような表現を使うと、「ありがとう」のリピートより、感謝の意が伝わってこないでしょうか。
「鈴木部長にごあいさつする機会をいただけたことを、たいへん嬉しく光栄に思っております」
単なるお礼ではなく、感謝の思いが具体的な感情として伝わります。
「また、さっそくのご発注、誠に感謝いたします」というように、「ありがとうございます」の代わりに「感謝いたします」や「お礼申し上げます」といった表現も覚えておくと、状況に合わせて、「たいへん」「誠に」「深く」「心より」を足すことで、さらにバリエーションが増えていきます。
本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
鈴木部長にごあいさつする機会をいただけたことを、たいへん嬉しく光栄に思っております。
また、さっそくのご発注、誠に感謝いたします。
いかがでしょうか。
さまざまな感謝の言葉を組み合わせることで、思いがより伝わり、信頼感ある文章になっていることがわかることでしょう。
感謝の気持ちが伝わることはもちろんですが、それだけでなく、相手への敬意や感謝の深さも表現することができます。
いずれも、感じのいいメールを送っている人たちが自然に行っているテクニックです。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。