化け猫伝説が好き
スキンシップにと、おやつを分け与えた後だ。それまで部屋の隅で様子を見守っていた三毛猫のなつみが、石破氏の前に大胆に体を投げ出した。
「あれは触ってのポーズです!」
スタッフが興奮気味に言う。
しゃがみこみなつみの背をなでてやる石破さん。ネコリパブリックの大統領ことおはぎも、石破さんのにおいを嗅いでいる。
地方創生に携わる石破さんは、日本全国の伝説に触れる機会が多い。特に「化け猫伝説」が好きだ。佐賀の鍋島藩の伝説はもちろん、今度徳島に行ったら、阿南市のお松大権現の伝説を調べようと考えている。
「ネコは気ままなせいか、妖しく、油断のならないイメージを持つ人も多い。しかし、伝説を読み解くと、忠義にあつく愛情深いのではと思えてきます」(同)
そんな「妖しさ」も持つネコに好かれるのは、権謀術数渦巻く政界に身を置いているから? 妖気の制し方を心得ているから、ネコも傅いてしまうのか。
記者はふたつの論拠から、仮説を立てている。ひとつは自身も語った「同じ目線」。もうひとつは、容貌だ。「同じ目線」も相まって、石破さんの豊かで高い頬が、ネコには巨大なマズルに見えているのかもしれない。
滞在時間は短かった。石破さんがネコに示した存在感は並々ならぬものがあった。
(編集部・熊澤志保)
※AERA dot.より転載