「猫専用アパート」の大家が入居者に“ねこ検定”取得を求める納得の理由Photo:PIXTA

ペットを飼う人が増え続け、特に猫の数はコロナ禍前から2割も増えているという。となると、賃貸住宅にも「猫と快適に暮らせる物件」のニーズがあるはずだが、そのような物件は実質的にまだほとんど賃貸市場にない。本当の意味で良質な“猫専用アパート”を供給し、人気物件にするための四つのポイントとは? 地域相場より3割高の家賃設定も夢ではない…!?(一芸物件専門家/キャリアコンサルタント 井上敬仁)

意外と多い「ペット可」「ペット専用」物件
猫の飼い主からすると、不満…!?

 賃貸住宅で猫を飼っている人で、こんな不満を感じた人は多いのではないでしょうか。

「ペット可の物件ではあるけれど、猫のための空間にはなっていない…。トイレの置き場には困るし、陽光がちょうどよく当たる場所がない。せっかく出窓があっても型模様入りのガラスなので外が全く見えない」

「ペット共生物件と聞いていたが、ほとんど犬のための物件。共用スペースの足洗い場やリードをかけるフック、ドックランは猫には必要ないから、相場より高い賃料を払うのはバカバカしい。そもそも猫は静かに暮らしたい動物。駆けまわる犬、ほえる犬がそばにいることはストレスになる」

「猫カフェみたいなおしゃれな猫専用物件と聞いて、いいと思って入居したけどなんか違った…。壁に設置されたキャットステップは家具を置くのに邪魔だし、キャットウオークは高過ぎておっかないし、掃除ができない」

 賃貸住宅市場には、「ペット可」や「ペット専用」をうたった物件が意外とたくさんあります。中には猫カフェ並みに設備が調った物件もあり、人気がありそうに見えます。

 しかし、猫を飼っている当事者からすると、備え付けのキャットウオークやキャットステップが必ずしも役に立つとは限りません。

 では、本当の意味で、人と猫が快適に暮らせる住まいとはどのようなものでしょうか? 猫カフェもどきの設備よりも、もっと大切なことがいくつかあるのですが、それが体現されている猫専用の賃貸物件は、市場にはまだほとんどないのが実情です。