【後悔しない“親の看取り方”】介護で知っている人だけが救われる、「在宅と施設」本当はどちらが理想的?親の最後を看取る場所として、自宅と施設はどちらが適切なのだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

在宅と施設はどちらが理想的?
親の最期を看取る人々の「迷い」

「昨年、父(88歳)が脳梗塞になり入院、数カ月間リハビリ予定です。その後は自宅に戻るか、施設に入所しなければなりません。自分よりひどい認知症患者が多い病院で、『自分も将来そうなるのか』と悲観、気力をなくし失望したり、自宅に戻りたいと病院で暴れ出したりしています。見かねた母(85歳)が、血栓の持病を押して、とうとう在宅で介護すると言い出しました」

 田端裕次郎さん(55歳・仮名)は、こう語ります。田端さんは、少し料金が高くてもいいから老人ホームに入居させたいと考えていますが、あまりに父が嫌がるので、自宅とホームのどちらが父にとって幸せなのか、悩んでいます。

 日本の高齢者は、最期を迎える場所に「自宅」を希望する人が6割近くもいて、家族に迷惑をかけたくないという理由で「医療施設」を希望する人は3割あまりです。ただ、そのうち希望通りに自宅で他界できる例は12%に過ぎません。現実的には、最期は医療施設にお世話になっている人がほとんどなのです。

 しかし米国では、自宅で最期を迎えられるよう在宅医療設備が整備されつつあり、自宅で死亡する人は3割と増加しています。在宅ホスピスケアの拡大が大きな要因で、安らかに死を迎えられる場所に対する人々の期待が高まっているのです。

 医療従事者や施設が不足する中、日本でも各地域で在宅医療の体制の整備が行われ、行政は自宅での介護を促しているのが現実です。介助者がいなくても自宅で一人で使いこなせる自立型の介護用品も増えています。

 実際、余生を自宅で過ごすのと施設で過ごすのとでは、どちらがいいのでしょうか。著書『共働きなのに全然、お金が貯まりません!』(三笠書房、2024年9月末発売)でも述べていますが、老後に施設に入所することを考えている人は、早めに複数の施設を下調べして確認しておきましょう。