この原稿を書いている2024年5月末現在(株式の10分割の直前)、エヌビディアの時価総額は2.7兆ドル(424兆円)である。グーグルを抱えるアルファベットやアマゾンをあっという間に抜き去り、今やマイクロソフトやアップルに肉薄して世界のトップ企業群に入った。

 上がりすぎかもしれないものの、少し前、誰がこの急成長を予想しただろうか。

近年もエヌビディア株を
安く買うチャンスはあった

 筆者はパソコンの中にグラフィックボードが入っていることと、その大手メーカーに2社あり、それぞれ製品名としてGeForceとRadeonがあることは知っていた。とはいえ、その重要性には気づかなかった。

 単純にバソコンのモニター上で画像を迅速に映し出す程度のものとしか認識せず、インテルのほうがパソコンにとってはるかに重要だと思っていた。

 今から考えるとエヌビディア急騰の前兆があった。2016年、アルファ碁が当時の世界最強者を破り、囲碁界だけでなく、未来学者までをも仰天させた。ただし、その背後にグラフィックボードの主要部品であるGPU(Graphics Processing Unit)があるとは、その世界のプロぐらいが認識した程度だろうか。