その当時、筆者はGeForceのメーカーがエヌビディアだとは知らなかった。もっとも、RadeonのメーカーがAMD(Advanced Micro Devices)であり、インテルと競合していることは知っていた。そこで今さらながら調べると、エヌビディアの株価は2015年頃からほぼ一本調子で上昇し、過去最高値の更新をしていた。しかもその後に急騰している。

 新型コロナの少し前と、2022年の2回、エヌビディアは急落しているものの、2010年代初頭までの激しい値動きと比較すれば、「順調な急成長」と表現できる。

 後講釈だが、2016年当時、アルファ碁の背景を多少なりとも知っていたのなら、少なくともエヌビディアとAMDとに分散投資していたかもしれない。ついでにインテルを加えたかもしれないが。

 とはいえ、2022年当時でも遅くなかった。生成AIが頭角を現し始めていた段階である。一方のエヌビディアは当時、ゲーム用の需要に支えられていた。その需要が一巡し、10月に株価は一時108ドルまでに下がった。

 これが最後の絶対的な買いチャンスだったことになる。しかし、108ドルまで下がったということは、急騰のわずか1年半前にもかかわらず、多くの投資家がエヌビディアを手放したことも意味している。

 株式市場とはそんなものである。チャンスは常に転がっている。