人間は社会的動物なので、自分の言動で集団の統率が乱れることや構成メンバーの反発や離反を招くリスクに恐怖を感じます。集団の中で良好な関係を望む気持ちは、権力を持つ上司側にも存在します。また、自分の言動で自分自身の地位や権力を失うリスクも抱えることになります。

 私自身も、社内外で必要に応じてネガティブフィードバックを行うことはありますが、嬉々として行うわけではなく、「相手は嫌な顔をするかもしれない」「関係が毀損する可能性がある」「この商談は失注するかも」などへの恐怖心がゼロではありません。

 厳しいことを言えない理由を上司に聞くと、たくさん出てきます。

「少しでも言い方を間違えるとパワハラになる」
「部下が昔の上司できついことが言いづらい」
「若手に厳しいことを言うと辞めてしまいそう」
「部下に嫌われると、その後の業務を進めにくい」
「人手不足のなか、やる気が下がったり辞められたりしたら困る」
「テレワークで、オンラインでの面談は厳しいことを言いにくい」
「働き方改革でこれ以上残業させられないので強く成果を求めにくい」