「伝えることでさらにモチベーションが下がったら本末転倒」
「あの人にきついことを言うと、10倍になって返ってくるのが怖い」
「あの人と踏み込んで話すのは、正直言って面倒くさい」
「どんなに熱心に伝えても暖簾に腕押しでまったく動いてくれない」
「自分も数字を持っているので余計な仕事を増やしたくない」……。

 私がクライアントのセミナーで最初にすることは、こうした「嫌な理由」「出来ない理由」を吐き出してもらうことです。愚痴でもいいので、まずは自分が抱えているものを吐き出していただいて、自分の感情に気づいてもらうようにしています。

 ネガティブフィードバックが必要なことは頭ではわかっていても、「できない」「やりたくない」と思っている状態ではフィードバックスキル自体も習得できず、相手と健全なコミュニケーションもできません。

 そこで、いったん自分の感情を整理するのです。

 心理学では「セルフアウェアネス(自己認識)」といいますが、自分がどういう理由や感情でやりたくないのかを整理して自己認識できると、モヤモヤした状態がなくなり、心を落ち着かせることができます。ネガティブフィードバックを始めるのはそこからです。