在韓米軍慰安婦の記憶残る「基地村」、今もくすぶる対立「モンキーハウス」を見つめるウンフィ・ヘンリーさん。この場所は何十年もの間、政府公認の売春宿で働く女性の隔離施設として使われていた Jean Chung for WSJ

【東豆川(韓国)】緑が生い茂る山岳地帯の入り口に立ち、ウンフィ ・ヘンリーさんは荒れ果てた2階建ての建物を見つめていた。それは米軍の数十年に及ぶ韓国駐留の痛ましい記憶を呼び覚ますものだ。

 この施設は1996年に閉鎖されるまで、地元当局が米軍の協力の下、基地周辺の政府公認売春宿で働く韓国人女性を、性病治療のために強制的に送り込む隔離施設だった。

 米兵が「モンキーハウス」という呼び名をつけ、地元でもそれが定着した。女性たちがおりに入った動物のように閉じ込められていたことから命名された。

 現在、モンキーハウスは韓国の過去と未来を巡る闘いの中心にある。この敷地を昨年買い取った地元当局は、観光客用の駐車場にするため、建物を取り壊したい考えだ。一方、ヘンリーさんや他の被害者、支援団体はこの建物を残し、国が後ろ盾となった性的搾取を耐え抜いた女性たちを記念する博物館にするよう求めている。