北朝鮮スパイの取り締まりを
放棄した前政権
北朝鮮のスパイは文在寅(ムン・ジェイン)政権下においてのびのびと活動し、大きな成果を上げたが、その背景には同政権の政策と、韓国社会の特異な体質があった。それは次の4点である。
1.文在寅政権は事実上、スパイの取り締まりを放棄した。
2.韓国には左翼圏を支える人々がいまだに社会の中核にいる。そうした人々は北朝鮮の危険性、韓国の安全保障などに対し警戒感が薄い。
3.韓国社会の政治的分断が激しく、スパイに活動のスキを与えた。
4.日韓の歴史問題や在韓米軍の駐留に反対する人々がおり、日米と韓国の関係を引き離しやすくしている。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になり、全国民主労働組合総連盟(民主労総)と北朝鮮のスパイとの関係で家宅捜索を行ったことを契機に、北朝鮮スパイの韓国での活動に注目が集まっている。尹錫悦大統領にとって、北朝鮮スパイの摘発は、国会を支配する民主党に対抗して国内政治の主導権を回復し、また、日米韓の連携を強化した外交を行うためには不可欠なことであろう。
北朝鮮スパイに活躍の場を与えた、文在寅政権下の韓国の状況について解説する。