「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。
「親が毎日同じ服を着ている」あなたならなんて言う?
「毎日、同じ洋服ばかり着ているんじゃない?」。おしゃれだった親の様子がおかしいと感じたときのひと言です。
もしも、今までおしゃれだったのに、服装や外見にこだわりがなくなったり、急に無頓着になったり、ワンパターンの服装ばかりになってきたら「社会性の低下」を示す兆候と捉えていいでしょう(専門的には「社会的フレイル」と言われるものです)。
「社会性の低下」とは簡単に言えば、まわりからどう見られようとお構いなしになったり、周囲とコミュニケーションを取ろうと思えなくなったりすることです。
これだけ聞くと「それって大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、「正常な老化の進行」ですので、それほど心配する必要はありません。
そのため、特別にかける言葉はありません。先ほどの伝え方のように、毎日同じ服を着るようになったことをわざわざ指摘しなくて大丈夫です。
もし、なにか声をかけるとすれば、「最近のお気に入りの服なんだね。似合っているよ」のように、親の変化を、ポジティブに受け入れましょう。こうした前向きな声かけが「老人性うつ病」の抑制や「認知症」の進行を遅らせることにつながります。