さて、ここまでの議論で少し気分が悪くなった読者の方もいらっしゃるかもしれませんが、今週の記事ではもう一段、深く掘り下げてノーベル経済学賞の理論から日本経済を眺め直してみたいと思います。
理論の基礎は「植民地支配の研究」にある
戦後の日本は…?
実は「国の発展が制度と強く関係する」という彼ら3人の研究は、欧米の植民地支配の研究が基礎になっています。経済の発展は本来は人口や気候、文化などさまざまな要因が関係するはずです。
しかし彼らの研究では、宗主国が植民地に強いた社会制度が決定的に重要だということを明らかにしました。アフリカを例にとれば収奪的な社会制度が採られた国々が大変貧しくなっている傾向があります。
一方で長い歴史の目で見ればアメリカもオーストラリアも資源が豊富な国であり、イギリスを宗主国とする旧植民地でしたが、彼らの研究成果に沿って言えば人口密度が小さかったことが幸いでした。そういった国の支配は移民を主体に行われるため、社会制度には宗主国に近い自由が組み込まれました。
もちろんアメリカにしても、植民地でなくなるためにイギリスに独立戦争を仕掛けるなど搾取された歴史はあります。それでも、総じて言えば社会制度に自由が与えられたことで長期持続的には繁栄することができたというのです。
さて、ここで物議を醸す考察をしてみます。日本はどうなのでしょうか。