日本と中国、どっちが自由?
「聞き方」次第で答えが180度変わる
ここは多くの日本人が錯覚しているところです。日本は世界の国の中でも突出して言論の自由が許されている国です。わたしも経済評論家として言いたい放題の記事を書いていますが、それで官憲から警告されたことは一度もありません。
しかし日本国内で経済活動をしようとするとすぐに気づくのですが、行動については自由が非常に強く制限されています。その社会制度が、日本企業によるイノベーションを阻害している可能性があります。
起業家が新しい発想で新しいビジネスをしようとすると、まず業法による制限があることに気づきます。法律上セーフかなと思うと監督官庁から指導が入ります。それも大丈夫かと思っても社会的な制裁が立ちはだかります。
ライドシェアにしても民泊にしてもロボタクシーにしてもドローン輸送にしても生成AIにしても、海外では大きなビジネスになっているイノベーションが、日本では禁止されていたり、制限されていたり、実証実験しかできなかったりするわけです。
その反対に中国は思想や言論の自由がない国と認識されますが、こと行動の自由に関していえば日本よりも自由度が格段に高い社会です。
新しいことをやって、やりすぎたら後から叱られるのが国民性です。そのせいで自動運転、遠隔医療、ドローン輸送、高速鉄道網など新しい技術を経済に適用するスピードが格段に速いのです。
「なぜ日本にユニコーン企業が育たないのか?」という議論については、金融インフラが足りないとか、起業家のコミュニティが足りないとかの対策が検討されます。
しかし本質的には、「同じアイデアで始めても、規制ばかりの日本では海外の競合に勝てない」ところが最大の問題でしょう。
そこでノーベル経済学賞理論です。なぜ日本の社会制度では、言論は自由でも行動の自由は制限されているのでしょうか?